ご縁があり、鮨なんばさんに行かせていただきました。
日本きっての超人気店であり、予約が取れないことでも有名ですね。
本当に素晴らしいお店です。
店主の難波さんのお話しの中で印象的だったのは、「客質が店を作る」という言葉。
私もその通りだと思いました。
今回はこちらをテーマに記事を書きたいと思います。
お店の雰囲気は誰が作る?
補足させていただくとお店の雰囲気を構成するのは人。
人とは店側の人もいますがお客様も含まれるんですね。
裏を返せば店側はお客様を見ているんですね。
(これは私の主観であり、難波さんが言ったことではありません)
どういったお店にしたいか、どのようなお客様に来ていただきたいか?
を考えるのは店主としては当然ですよね。
寿司屋に行った時、常連さんらしき人の客質を見ればその寿司屋がどういう店なのか見えてくると思います。
お金をたくさん使うお客様が必ずしも歓迎されるとは限らない
ちょっと意外に思われますか?
私の銀座での修業時代の話しをしたい思います。
修行時代のお店の常連さんで私が特に大切にしていたのは、日本に住むアメリカ人のお母様と娘さんの親子でした。
お母様はお年を召していたこともありいつも1番少ないコースにお茶でした。
単価的には低いですよね。
しかし私だけでなくみんな大好きで大切にされていました。
店を愛し、寿司を愛してしっかりと向き合ってくれているのが伝わってくるんですね。
銀座という土地柄、会食、接待や同伴、また海外からのお客様はどうしても多くなりますよね。
海外からのお客様でカウンターが埋まってしまったらそのお客様もせっかく日本に来ているのに少し残念に思うかもしれませんよね。
どのようにお客様を入れるか、雰囲気作りをするのかというのも寿司屋にとっては大事なことです。
とりあえず入れればいいというお店と、損得と並行して雰囲気作りを考えているお店では数年経てば雲泥の差になりそうな気がしませんか?
私をなんばさんに連れて行ってくれた方がこんなことを言っていました。
「人気店もキャンセル待ちからたまに1人客を入れるんだよ」と。
なぜかわかりますか?
1人客は寿司に向き合ってくれるんですね。
会食や接待のお客様が寿司に向き合っていないとは限らないですが、1人客はどうでしょう?間違いなく寿司が目的ですよね。
店主も従業員も朝早くから河岸に行き、最高の魚を選って自分が納得できる最高の仕込みをしてベストのタイミングでシャリを切りお客様を迎えるんです。
寿司職人としてお客様と真剣勝負がしたくなるんです。
食らうも修行
私が寿司職人としてまだまだ駆け出しのころ、尊敬する先輩からあそこには行った方がいいという寿司屋を教えていただきました。
休みの日にはランチ、ディナーと寿司のダブルヘッダーをして勧められた寿司屋は必ず行くようにしていました。
しかし、そのお店だけにはずっといけなかったんです。
なぜなら一見さんお断りの寿司屋だったからです。
その先輩とは銀座の超人気店の店主で小僧の自分がお願いするのも忍びなかったので行けずにいたんですが、
ある日ダメ元でその一見さんお断りのお店に電話したんですね。
女将さんが出て「寿司職人の見習いです。僕は誰の紹介でも無いんですが勉強のために親方の寿司を食べてみたいんです」と懇願しました。
女将さんが2番手の方に繋いでくれてその方にもまた懇願して、なんとその当時の親方に繋いでくれたんですね。
「ではいついつお待ちしております」と。
その当時の自分にはなぜ行けたのか理解できなかったですが、
今思えば寿司に向き合う1人客枠だったのかなと。
当時自分が住んでいた家の家賃ほどするコース料金を払うのに精一杯で
周りの人が高そうなお酒を飲んでいる中、
無料のお水をひたすら飲むことしかできませんでしたが、
みなさんに本当によくしていただき良い経験をすることができました。
名店を作るのは店主でありお客様なんですね。
さて次の自分のお店をどんな雰囲気にするか、今から楽しみです。